家族・切り出し方
親と「これからのこと」をどう話す?気軽なひと言から始める
親のことも子どものことも気にかかるこの時期、多くの人が胸にしまっていることがあります。親のこれからの希望を知りたい。でも切り出すと「縁起でもない」と言われそう。この記事では、話しやすいタイミング、そのまま使える言い方、途中で話が止まったときの対処をまとめました。
なぜ今のうちに話すのか
こうした話は、体調が落ち着いていて気持ちにも余裕があるときのほうが、お互い冷静に考えられます。入院してから、あるいは間に合わなくなってから聞こうとすると、家族は推測するしかありません。父は延命治療を望むだろうか。母の通帳はどこにあるのだろう。
これは死後の段取りを決めることではありません。いざというとき、家族が本人の望むかたちでそばにいられるようにするための話です。
自然なタイミングを見つける
- ニュースやドラマ、知り合いの話題が出たときに、「自分だったらどうしたい?」とさりげなく聞いてみる。
- 自分が保険を見直したり、子どもへの手紙を書いたりしているときに、「もし自分に何かあったら子どもに何を伝えておけばいいか考えていて、ついでに聞いておきたくて」と話してみる。
- お正月やお盆、誕生日、親戚の集まりのあと、一緒に散歩したり車で移動したりしているとき。
- 通院に付き添った帰り、体調が落ち着いているとき。
そのまま使える切り出し方
- 「最近、子どもに手紙を書いたんだけど、孫に何か言っておきたいことある?」
- 「もし入院することになったら、まず誰に連絡すればいい?」
- 「通帳や保険証券がどこにあるか、場所だけ教えてくれる?中身は見なくていいから。」
- 「これだけは自分の思うとおりにしてほしい、ということはある?」
一度に話すテーマはひとつだけ
| テーマ | 聞けること |
|---|---|
| 医療 | 延命治療や人工呼吸器、緩和ケアについての考え。医療のことを誰に判断してほしいか |
| 書類とお金 | 通帳、印鑑、保険証券、不動産の権利証などの置き場所。借金や、誰かの連帯保証人になっていないか |
| 連絡先 | 知らせてほしい親戚や友人。付き合いのある保険の担当者、弁護士、司法書士、税理士 |
| 葬儀やその後のこと | 宗教や儀式の希望。家族だけで静かにか、にぎやかに送ってほしいか |
| 残したい言葉 | 誰に何を伝えたいか。会いたい人、やっておきたいことはあるか |
話が止まってしまったら
- 親が「その話はやめて」と言ったら:いったんやめて、日を改めましょう。「いざというときに、私たちが間違ったことをしてつらい思いをさせたくないから」と一言添えるのも手です。
- きょうだいで意見が分かれたら:まず親が言ったことをそのまま書き留めておき、その場で正しい・正しくないを争わないこと。
- 結論を急がない。その場で親に何かの書類へ署名させるようなこともしないでください。
- 話した内容は要点をメモにして、次に会ったときに親に読んでもらい、直してもらいましょう。
話したあとは
医療についての希望は、家族や医療者と話し合う「人生会議(ACP)」として続けたり、書面に残したりできます。財産の分け方は、別に遺言書を作る必要があります。こうした正式な書類の作り方は、日本の正式な書類と準備のしかた にまとめています。
よくある質問
親がこの話題をとても嫌がります。
一度に全部話そうとしないことです。「いざというとき誰に連絡すればいい?」のような、いちばん抵抗の少ないところから始めたり、若いころの話を聞かせてもらったりしてみてください。昔の話をしてくれる人は、これからの話にも応じてくれやすいものです。
きょうだい全員で話したほうがいいですか?
最初は1人か2人のほうが、雰囲気が重くなりません。おおよその考えが見えてきたら、みんなで確認する場をつくりましょう。あとで「そんなの聞いていない」という人が出るのを防げます。
親がスマホに慣れていません。代わりに書いてもいいですか?
親が話して、あなたが横で手伝う形なら大丈夫です。できれば親自身のスマホとアカウントを使ってください。そうすれば手紙も声も親本人のものになります。あなたはボタンを押すのを手伝うだけです。